前回Blogの再掲となりますが、アジャイルマニフェストでは,4つの価値を原則とする開発手法をアジャイル型と称しています。
- プロセスやツールよりも個人と対話
- 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェア
- 契約交渉よりも顧客との協調
- 計画に従うことよりも変化への対応
さらには、
- 自律型チーム:プロジェクトマネージャに依存しない、開発者と顧客を中心とした意思決定
- インクリメンタル、イテレーティブ開発:定期的に顧客向けに繰り返しリリース
といった特徴もあります。開発者にとっては、リリース期限のプレッシャー下とそのタイムマネジメントに加え、変更に対する柔軟な対応、さらには品質管理やコミュニケーションの円滑化等、様々な面でスキルが試されるハードな現場となっていることも多いかもしれません。
「イテレーション(アジャイル型)で開発するというのは,エンジニアのスキル次第ということが相当大きい」(アジャイル型開発の経験15年以上のコンサルティング会社様)
当社代表のアンケートの分析を通じた研究結果でも、アジャイル型のコスト,納期面の効果がでていないことが統計的に有意な結果として確認されています。また、アジャイル型の課題として技術面,及びプロジェクトマネジメント面のスキルアップの必要性が挙げられています。従って、アジャイル型開発におけるイテレーション開発の難易度の確認、また開発者のスキル評価とスキルアップ施策を組織的また継続的に進めることが重要といえますね。
そのため、当社が行っているプロジェクマネジメント方法論の教育研修では、アジャイルマニフェストに加え、
- アジャイル開発のプロセス(イテレーティブ、インクリメンタル)
- アジャイル開発の手法(Scrum、Kanban、XP等)
- アジャイル開発のプラクティス・ツール(タイムボックス、テストドリブン、継続的統合(CI)等)
のうち主なものを学習します。また、アジャイル型導入にあたっての事前アセスメントでは、特にCI等のツールについて開発者が使える状態になっているか、開発者や品質管理をサポートするための自動化の度合いを確認します。さらにはた顧客との要求事項や品質管理上のコミュニケーションツールが整備されているか等、プロセス、手法、ツールの面で定量的に評価(下図イメージ)しながら、アジャイル型と計画駆動型の使い分けを体系的にアドバイスできるようにしています。
参考文献:
今仁武臣, & 中野冠. (2017). アジャイル型開発手法の適用領域とプロジェクトの成功度の関係. 日本情報経営学会誌, 37(1), 50-62.
PMI日本支部: “アジャイル プロジェクト マネジメント意識調査報告 2022, “, https://www.pmi-japan.org/agilesg/2023/02/10/post-55/, 2015.(2024年1月1日アクセス)
Highsmith, J.: Agile project management: creating innovative products, Pearson Education, 2009.
Leffingwell, D.: Scaling software agility: best practices for large enterprises, Pearson Education, 2007.