DXプロジェクトで生成AIを使うなら、どの資料を読み込ませ、何を任せるかを先に決めておきたいところです。出てきた結果を誰が確かめ、どこで承認するかも、あわせて決める必要があります。
生成AIは大量の記録を読み、確認が必要そうな箇所を探すのに役立ちます。ただし、結果を採用するかどうかは人が判断し、関係者に説明しなければなりません。その手順をプロジェクトマネジメント計画書に書いておくことが大切です。
JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)が2025年9~10月に実施し、957社が回答した『企業IT動向調査2026』では、言語系生成AIを導入済みの企業は約3割(33.9%)、試験導入中・導入準備中を含めると約5割(53.4%)でした。利用が広がるなか、現場任せにせず、プロジェクトとして使い方を決める必要があります。
生成AI使用方針をプロジェクト計画に定める理由
DXプロジェクトでは、要件、課題、リスク、変更、品質について、それぞれ別の台帳や会議で管理していることがよくあります。生成AIで複数の資料を照合すると、その結果がどの管理項目に当たるのか、判断が必要になります。
たとえば、会議メモに記載漏れらしい箇所が見つかったとします。課題として登録するのか、リスクとして監視するのか、変更要求として審議するのか。ここが決まっていなければ、いくら候補を見つけても、その後の対応が進みません。
そのため、生成AIの使用方針には、見つけた候補を品質管理やリスク管理、変更管理などへどう引き継ぐかも含めます。DXプロジェクトにおけるPMOのトランスフォーメーションでも、AIエージェントは不整合の候補を早めに見つけ、確認と判断、成果物への反映は人が担うと整理しました。
生成AIの使用範囲は「確認候補の抽出」まで
ある製造業の基幹システム刷新では、数千件のチケットと数百MBの記録を業務フロー資料と突き合わせ、記載が足りない箇所を探しました。まずチケットの題名と状態から対象を絞り、必要なものだけ詳しく確認しました。
確認作業は速くなりました。一方で、生成AIが似た題名の課題を取り違えたり、システム間の優先ルールや最新の更新履歴を見落としたりすることもありました。もっともらしい文章が出てきても、元の資料まで確かめる必要があります。
この事例では、生成AIに任せるのは資料の検索、要約、不整合や記載漏れの候補探しまでとしました。候補を課題やリスクとして登録するか、仕様やテストに反映するかは、業務とシステムの事情を知る担当者が判断します。
計画書に記載する生成AI使用方針の4項目
プロジェクトマネジメント計画書には、次の4項目を盛り込みます。
1. 使用範囲と入力情報
生成AIに任せる作業と、人が判断する事項を分けます。読み込ませる資料、データの機密区分、参照する期間、対象システムも明記します。
たとえば、「会議メモ、課題一覧、業務フロー、ベンダー回答から不整合の候補を探す。課題の確定、優先順位づけ、仕様変更は担当者が判断する」と書きます。
2. 検証と承認
AIの出力を誰が確かめ、誰が承認するかを決めます。元資料をたどれるか、似た課題を混同していないか、システム間のルールと矛盾しないかを確認します。最新の決定が反映され、根拠のない記述が混じっていないかも見ます。
AIに点検結果と参照元を示させる方法もあります。ただし、その報告をうのみにせず、業務担当者やシステム担当者、PMOが元資料を確かめます。
3. 実行権限とデータ管理
使えるツールと実行者、データの取得方法、保存先、利用後の扱いを決めます。外部パートナーと社員で権限が異なる場合は、社員だけが実行するなど、実際の権限に合わせて計画します。
大量のチケットを一度に取得すると、対象システムに負荷がかかることもあります。実行する時間帯や取得件数を決め、必要に応じてシステム管理者の承認を得ます。
4. 結果の取り扱い
見つかった候補をどの台帳に登録し、どの会議で審議するかを決めます。要件や仕様、テストへの反映を誰が担当するかも明確にします。関係者に説明する際は、表現と根拠をあらためて確かめます。
生成AIが候補を見つけたら、担当者が根拠を確認し、課題・リスク・変更要求のどれとして扱うかを決めます。承認を経て成果物に反映するまで、既存の管理手順につなげておきます。
PMI InfinityのPMエージェントとGoogle WorkspaceのPMペルソナスキルでも、入力から確認、承認までをプロジェクトごとのルールに組み込むことを取り上げています。
PMOは検証と合意の手順を整える
生成AIが挙げた候補のうち、何を採用し、何を見送るか。関係者にはどんな根拠で説明するか。これらを決めるのはプロジェクト側です。
PMOが見るべきなのは、AIが何件処理したかだけではありません。誤りに気づける確認手順があるか、関係者が判断を確定できる場があるかです。品質管理、リスク管理、変更管理のどこにつなぐかも整理します。
まずはこの4項目を1枚にまとめ、既存のプロジェクトマネジメント計画書に反映します。使い方を担当者任せにせず、プロジェクトの手順として共有するところから始められます。
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タクスフィア株式会社は、DX・基幹システム刷新のPMO、要件定義、生成AIの運用設計を支援しています。生成AIの使用方針や確認手順をプロジェクトマネジメント計画書に盛り込みたい場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。
